世界には13種類のカワウソがいます。そのうち日本の動物園・水族館で飼育されているのは、コツメカワウソ、ツメナシカワウソ、ユーラシアカワウソ、カナダカワウソの4種類。カワウソの見分け方を予習して、動物園や水族館に出かければ、観察がもっと楽しくなるはずです！

◆見分けポイント①＝大きさ

まずは、体の大きさを手掛かりにしましょう。猫ぐらいのサイズであれば、それはきっとコツメカワウソです。コツメカワウソは、カワウソの仲間の中でもっとも体の小さい種類となります。大きさだけでなく、念のため、指先の爪も確認してみましょう。爪があるのかないのかわからないほど小さければ、コツメカワウソで確定です。

ほかの3種類は、コツメカワウソよりも大型です。ツメナシカワウソは体重16～20.5kgと、小学校1年生の子どもぐらいになるものもいて、ユーラシアカワウソは4.1～16kg、カナダカワウソは5～13.7kgで柴犬と同じぐらいです。

◆見分けポイント②＝爪と鼻の形

ツメナシカワウソ、ユーラシアカワウソ、カナダカワウソの3種類の体の大きさの違いは前述の通りですが、個体差が大きめ。そのため、体の大きさだけでを見分けるのは難しいので、爪と鼻の形をチェックします。

3種類の中では、ツメナシカワウソだけ名前の通り爪がありません。厳密には、後足の中央3本に短いかぎ爪があるので、完全な爪なしというわけではないのがおもしろいところ。ユーラシアカワウソとカナダカワウソは、立派なかぎ爪を持っているので、「体が大きい」＋「爪がない」から見分けてツメナシカワウソとなります。

ちなみに、かぎ爪のあるなしは、狩りをする際の行動の違いにも現れます。かぎ爪のないコツメカワウソとツメナシカワウソは、手（前足）の感覚が敏感でとても器用。彼らは手を前に伸ばして獲物をとらえたり、岩の隙間に手を入れえさを探し出したりします。動物園や水族館では「握手イベント」をしているのは、この握るしぐさを利用したものです。

その一方で、かぎ爪をもつユーラシアカワウソとカナダカワウソは頭を前にして泳ぎ、かみついて獲物を捕獲。かぎ爪をもつタイプは、指先を使わない代わりに指の間に水かきが発達しています。よ～く観察してみましょう。

残った2種類は、鼻の形で見分けることができます。ユーラシアカワウソの鼻は上がW字型。カナダカワウソの鼻は大きくてスペード型をしています。

◆見分けポイント③＝体臭で見分ける!?

カワウソ見分けについて、爪や鼻など細かいところを見るのだな、と思いましたか？　カワウソといえば、細長い体・太くて長い尾・短い手足・小さく丸い耳などの特徴がありますが、これらはどの種類のカワウソも共通するもので大きな差異はありません。そのため細かいパーツをみる必要があるというワケ。

カワウソはどの種類も水辺に住み、魚やカニ・エビ・カエルや周辺に生息する小動物を捕らえて食べる、という生活をしています。どの種も捕食のために同じような機能を求められるため、色も形もそっくりなのです。

なお、伊勢シーパラダイスの飼育員さんによると、「コツメカワウソはツメナシカワウソより体臭がきつい」とのこと。こればかりは、確認するチャンスがありませんが、興味深いですね。飼育員さんに聞いてみたりなどしてはいかがでしょうか？

◆番外編　そのほかのカワウソ

【ニホンカワウソ】

ニホンカワウソは、残念ながら我々が絶滅させてしまった生き物です。かつては日本全土に分布していたといわれますが、有効な手段がほとんど何も施されないまま、およそ30年前に姿を消しました。アクアマリンふくしまなどで飼育されるユーラシアカワウソに近い仲間といわれています。

【ラッコ】

カワウソとはとても近い関係にある生き物です。というより、カワウソの一種と言った方が良いかもしれません。遺伝子を調べた研究では、コツメカワウソとオオカワウソより、コツメカワウソとラッコの方が近い仲間とする考え方もあるそうです。体毛が長くカワウソより濃いめの色をしており、仰向けでプカプカ浮いたりと、あまり似ている気がしないかもしれませんが、陸に上がったところを見れば、まさにそっくり！

【オオカワウソ】

カワウソの中で最も大きな種類は、その名もオオカワウソ。大きなものでは体重30kgを超えます。短い体毛、ぎょろりとした目、毛が生え穴だけが目立つ鼻など、ほかのカワウソとは印象が一変。ときにワニすらも襲う強力な捕食者でもあります。社会性が強いのも特徴で、通常4～8頭、多いときは20頭もの群れを作ります。恐ろしいイメージばかりを述べてしまいましたが、オオカワウソには愛情深い一面も。子育ては両親だけでなく群れ全体で行い、ジャガーのような天敵が現れれば協力して追い払います。さらには年老いた群れのメンバーを助けることもあるのです。残念ながら日本では飼育されていないので、生体を見たいなら海外の動物園か、生息地アマゾンへ！

取材協力＝岩間創作室

ライター・木村悦子プロフィール

【コラム企画】いきものがたり　ライター・木村悦子画像 | いきものAZ

いきものについてのコラムを書いていただく本企画。今回は・・・、いきものに関する書籍やWeb記事の執筆・編集を手掛ける木村悦子さんに、伊勢シーパラダイスへ取材に行っていただきました！伊勢シーの魅力をはじめ、カワウソゥ選挙を担当した飼育スタッフ…

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